「クロスファイア 上下」宮部みゆき

クロスファイア (下) (カッパ・ノベルス)
クロスファイア〈上〉 (カッパ・ノベルス)
SF兼ミステリ風長編(??)
超能力者モノの場合、“主人公の力がじわじわあらわれる”“自分は何者なのか悩む”“主人公を追う謎の組織が登場”あたりの描写が長くて「そんなに悩むなよ!」とか「早く教えてよ!」とイライラするが(スティーブン・キングファイアスターター」もこの理由で挫折中)、この作品の場合、ヒロインがすでに腹をくくった状態から始まるので、その点はスッキリしている。
ただ「鳩笛草」に収録されている短編「燔祭」を読んでからでないと、面白さが若干減少するのではないだろうか。作者本人も「立ち読みでもいいから、これの前に『燔祭』を読んでください」って言ってるし。


上巻では、「超能力」という地に足のつかないテーマと、この作者のやけに地に足のつきすぎた生活感あふれる描写のギャップが気になったけれど、下巻の後半からはかなりグーッと読んでしまった。