「ほんまにオレはアホやろか」水木しげる

ほんまにオレはアホやろか (新潮文庫)
水木しげる御大の自伝。自伝めいた作品は多々あるので、ひととおりは知っているのだが、私が知らなかったエピソードもたくさんあって、かなり面白く読んだ。
とにかくのんきな子供時代から、なぜか奇跡的に生き延び続けた戦中、そしてとにかく貧しくて忙しかった戦後。生命の危機でも、ものすごく淡々と書いてあり、そこがまた読んでいて引き込まれる。
戦後すごく貧しく忙しい生活だったというが、「絵を描く仕事」にこだわらなければ、ここまで貧しく忙しくなかったと思う。でも水木先生はあえて「絵の仕事」を貫いたし、無理に仕事を変えさせなかった(であろう)奥様にも頭が下がる思い。ただ、非常にのんき者でな水木先生であるから、普通の会社勤めに収まったかどうかは、保証できない。そういう意味でも、先生には創作活動がいちばんあっていたのだろう。
私の人生30年をこのノリで書いたら、うーん10行くらいか。東京から募金旅行に出かけたら大阪あたりで旅費が切れて、そのまま兵庫のアパートを借金して買ったら、住人がギャングだったとか、そんな出来事私の人生にはないもんなあ。