「十一番目の志士 上・下」司馬遼太郎

十一番目の志士 (上) (文春文庫)

十一番目の志士 (上) (文春文庫)

主人公の天堂晋助は剣術の天才で、長州藩の刺客となり…って架空の人物!?司馬遼太郎が書くと実在の人物にしか思えません。
さてこの天堂晋助ですが、四代前までは士分で、宮本武蔵を祖とする剣術を体得しているものの、現在は農民程度の身分に落ちていたところを高杉晋作に見出され、桂小五郎に保護され、新選組土方歳三近藤勇と敵対し、行く先々で幕末の志士(坂本竜馬勝海舟西郷隆盛中村半次郎等々)に出会い、関わった女たちを不幸にしつつ、旅を続ける……という幕末オールスター総出演な小説です。いろんな人がちょっとずつ出てくるのでニヤリとします。天堂晋助は人を斬り、逃げまくるので、アクションものっぽい要素もあり、珍しく娯楽色が強いです。
個人的には、ちょうど「世に棲む日日」で高杉晋作の人生を追ったあとなので長州の情勢もわかりやすく、一番良いタイミングで読んだかもしれません。幕末長州好きな方におすすめ。もしくは入門編として良いかもしれません。