「大江戸観光」杉浦日向子

大江戸観光 (ちくま文庫)

大江戸観光 (ちくま文庫)

杉浦日向子が、あっちこっち(ホントにあっちこっち。知らない誌名ばかり)で書いたお江戸ものエッセイを集めた本。読んで驚いたのが…あの名作「合葬(彰義隊もの)」が25歳、「百日紅葛飾北斎もの)」が30歳前の作品だったなんて…ショックだ…落ち込むほど。20代の娘さんが春画がどーのこーのと言ったり描いたりしていたのか。そりゃあ珍しがられるよ。エッセイの中には「百日紅」の登場人物に言及している内容もあって、そこのためだけでも買ってよかった。エッセイ中に、21世紀に自分は何をしているか…みたいな文章があって、この頃はまだご病気ではなかったのかと思うと切なくなりました。結婚すらしていない時期ですね。
百日紅 (上) (ちくま文庫)百日紅 (下) (ちくま文庫)
そういえば以前「百日紅」を読んだ時、「すばらしすぎてコメントできない。この興奮が冷めたら何か書きます。」とだけ書いていたので、何か感想を…。
天才で破天荒な絵師・葛飾北斎と周りの絵師たちのユーモアがあってイキな生きざまを描いたマンガなのですが、私が気になるのは北斎に私淑している善次郎(のちの渓斎英泉)。ひょうひょうとした女好きの青年で、作中ではまだ絵師として目が出ず、ヘタヘタ言われて本人も気にしているんだけども、実際にはこののち、美人画で大ヒットを飛ばす人なんですね。そんな史実を交えて読んだり、実際に彼の美人画(これがまた強烈な絵)を見たりすると、ますます面白い。もちろん脚色されたキャラクターでしょうが、登場人物すべて、杉浦日向子の料理具合がかなり良いです。


のんのんばあとオレ」についてはまた後日…。

のんのんばあとオレ (講談社漫画文庫)

のんのんばあとオレ (講談社漫画文庫)