駅 STATION

駅 STATION [DVD]
以前リリー・フランキーが著書で「高倉健は寒いほど美味しい」と書いていましたが、まさにその通り。北国でコートの襟を立てて難しい顔で雪原にたたずむ健さんは想像できても、南国で砂浜にたたずむ健さんは想像できません。あ、いや、まぶしそうな顔で、くたびれた開襟シャツを着て首の後ろの汗を拭いている健さんはアリかも…。


それはともかく、高倉健が主演で、北海道が舞台の映画です。警察官で狙撃の名手の健さんは、事件解決のために凶悪犯を射殺しているのですが、そんな自分に疑問を感じながら過ごしています。この映画はセリフが非常に少なく、登場人物がたたずんでいるシーンが多いのですが、それがまた健さんならではで良いといいますか、自分の心情なんて一切語らない。いやむしろ語ってくれるな、という感じですらあります。
そんな健さんが、3人の女性とすれ違いながら、それでも警察の仕事をまっとうしていきます。ちなみに一番泣けたのは北林谷栄演じる健さんのお母さん(ボケ気味)が、厳寒の港で、健さんが乗る連絡船をいつまでも見送るシーンです…「もう帰んな」と言われても帰らない。パタパタとつたない動きで手を振る老母の姿に泣いてしまいました。メインのストーリーとは関係ないのですがね。
地味で静かな映画ですが、冬の寒い日にゆっくり見ると良いかもしれません。というか、寒い日推奨ですね。


また健さんが寡黙なので、女優さんのキュートさが光ります。倍賞千恵子は昔から好きだったので、かわいらしくもくたびれた様子がすばらしく、こりゃ惚れちゃうよ!と。それから、ほぼ1シーンしか出ない、いしだあゆみの泣き笑い顔にキュンと来ました。昔はあまり好きな顔ではなかったのですが、今になって「キレイなんじゃ…」と感じます。遅くてすみません。


実は熟年恋愛ものがけっこう好きで、マディソン郡の橋(映画の方)なんか、かなり好きだったりします!若年同士の恋愛は、他を投げ捨てて恋愛に邁進したり、失敗できる余裕がありますが、熟年同士だと、そういうわけにもいかず、過去とか現在とかしがらみがあるのが好きなのです。