「シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯」W・S・ベアリング=グールド 小林司、東山あかね/訳

kkato_sp2009-05-13

シャーロック・ホームズ―ガス燈に浮かぶその生涯 (河出文庫)
去年の夏、仕事先近くの古本屋で見つけて買った本で、ホームズの生涯がくわしく書いてあります。なぜ正典(ドイルのホームズ)にも書いていない内容が、この本に書いてあるのかわからなかったのですが、裏表紙の紹介文を見て爆笑。
以下、紹介文より→「この本はなんとシャーロック・ホームズの生涯を、ホームズ物語とその周辺の資料から再構成してしまったというホームズファンもびっくりの奇書である(以下略)」
というわけで読んでみましたが、正典や、あるいは当時の史実からきちんと抜粋した部分と、作者が勝手に推測した部分が入り交じっていてもう何が何やら…。なぜホームズの両親の名前や馴れ初めまでわかるのか?冒頭から謎ばかりですが、ホームズのファンとしてはとても楽しく読めました。作中の矛盾を何とかすべく、かなりアクロバティックな解釈をしていて感心します。例えばワトスンがベーカー街の下宿にいたりいなかったり、奥さんがいたりいなかったりする時期があるのを「3回結婚したから」とか、まさしく「その発想はなかった」です。ただ個人的には「四つの署名」のメアリ嬢が好きなので、彼女との結婚1回のみと、私はそう思っておくことにします。こうやって個人個人で好きな解釈を楽しむのも面白いのではないかと思います。
またウィキペディアのホームズ関連の項目は、充実していて読み応えがあるのですが、ワトスンの項目の、ミドルネームの解釈には唸りました!というのもワトスンのフルネームは「ジョン・H・ワトスン」なのですが、なぜか作中で1回だけ、奥さんが「ジェームズ」と呼ぶのです。その謎については、「ジェームズ→スコットランド呼びだとヘイミシュ→ミドルネームのH」という解釈も載っており、そのウルトラC並みの着地方法にビックリです。私はたぶんドイルが書き間違えただけなんじゃないかと…許してあげて、と思っております。
それにしてもホームズ研究本も面白いですね。また何か買ってしまいそう。