「旅のラゴス」筒井康隆

旅のラゴス (新潮文庫)
7日の夜に発熱しまして、「えっ、新型インフルエンザ!?」と焦りましたが、ただのカゼでした。症状も軽めだったのですがなかなか熱が引かず…。ずっと寝て本を読んでいました。
その中の1冊がこれです。10年ほど前に借りて読んで、その時は筒井康隆をあまり知らなかったので、「なんてスケールの大きい壮大な話なんだ!」と思ったのですが、今思うとしれっと壮大なことを書く彼の顔が浮かんでしまいます。それでも面白いというか、読んでいて気持ちがいいですけどね。
以下、たたみます。
ラゴスという一人の男の生涯を追ったお話です。この世とは少し違った、ファンタジー風の世界ですが、書評だとSFになっていて、読み進むとどうやら私たちの世界との接点が見えてきます。
主人公のラゴスは公平で聡明な男なので、旅で出会った人々に好かれながらも、さまざまなトラブルに巻き込まれます。数年があっというまにたったり、世界を変えるレベルのスケールが大きい話が多いので、壮大な雰囲気があり、ラゴスの人柄もあいまって、読んでいて爽快感も感じます。
タイトル通り、さまざまな土地での出会いや、年月の流れを感じる、「人生の旅」を味わえる作品です。
実は私、あまり筒井康隆が好きではなく…。でも、本が好きな人って、筒井康隆が好きな人が多いので、すごく言いにくくて…。彼独特の、ドロドロした描写が苦手なのですが、そんな私でもこの作品は読みやすかったです。また筒井作品によってはそうでもないらしいので、今は七瀬シリーズを読んでいます。