「しゃべれどもしゃべれども」佐藤多佳子

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

落語家の青年のまわりに、しゃべること(=生きること)が苦手な人達が集まって、落語を教わることに。でもこの面々、しゃべるのが苦手なので、いつまでたってもお互いにまったくなじまない。そんな連中に囲まれて、落語家の青年は他人の悩みに翻弄され、自分の芸や恋も伸び悩み…というお話です。
江戸っ子で短気、そんな青年の一人称で進むので、竹をすっぱり割ったような雰囲気で気持ちよく読めます。

以前読んだ、同じ作者の「サマータイム」「黄色い目の魚」もそうですが、あまり深くまで登場人物や事件を、解決するまで描かないんですね。そこが少し物足りないと思いつつ、かといって全ての事件があっさり解決してしまったら都合が良すぎるので、このさじ加減でいいのかもしれません(でも、村林少年のいじめ問題のその後は知りたかった…!)

サマータイム (新潮文庫)

サマータイム (新潮文庫)

黄色い目の魚 (新潮文庫)

黄色い目の魚 (新潮文庫)

ところでこの短気な威勢のいい若者である主人公が、必死で笑わせようと滑稽にしゃべってる場面がイメージできなかったんですが(噺家さんは年配の方が多いんで…)、映画の予告を見たら、こんな感じなのかとフに落ちました。