「夜のピクニック」恩田陸

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

古本浪漫堂にオススメされました!ありがとう。
一晩中歩くという学校行事当日の、高校生数人のお話です。私も強歩大会や富士登山等々、体力勝負な学校行事がある高校に通っていたので、読み始めてすぐ懐かしい雰囲気がただよってきました。
登場人物は、高校生のみ。ただ歩いているだけ。なので冒頭は「地味だな!」と思ったのですが、主人公2人のある秘密を知ったとたんに先が気になって気になって仕方がない…!
というわけで以下ネタバレなのでたたみます。
あと雰囲気がわかりやすいので映画の予告を貼っておきます。

主人公である女性生徒と男子生徒は、実は異母兄弟であることを秘密にしていて、お互い避けている。この2人を軸に、登場人物が友情や恋愛や将来のことなどの、淡い不安をめぐってグルグルします。
みんな歩いているだけなのに、ちゃんと謎が持ち上がって明かされ、ハプニングが起きて解決しと、ハラハラの展開になるのがすごい。高校生なら気になる恋愛要素も、淡い感じで好印象。面倒くさい学校行事、仲のいい友達とそうでない友達、ちょっと田舎の風景…と、風景&心理描写のちょっと乾いた空気が、誰にでも高校時代を思い出せる雰囲気です。
なお前述の映画は見ていないのですが、キャストが地味で見た目は再現度高し。それにしても場面は歩いているだけなので、映像で登場人物の心理描写はどうしているんでしょうか。