「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

フロム古本浪漫堂
京都の某大学の男子学生と、その後輩の黒髪の乙女、この2人の主人公の一人称で交互に語られる青春物語です。
舞台が京都で、京大生たちが繰り広げるファンタジックでコミカルな青春もの…ということですっかり「鴨川ホルモー(映画の感想はコチラ)」の万城目学と混同していましたが別人でした…(でも交流はあるらしいよ!)。
前述のように物語は2種類の一人称ですが、どちらも独特の古めかしい言葉使いで、クセがあります。最初はそれが鼻についたのですが、慣れたら楽しい。というか作者の語彙の豊富さに脱帽です。
舞台は京都で実際の地名がガンガン出てくるので、普通の現代物だと思って読んだらアレ?不思議なファンタジー要素も入り込んで、現代物=リアルという固定概念を気持ちよく崩されました。現代京都でありながら、オレンジっぽいランプに照らされたような暖かい空想の世界が混ざってきます。
第四章からなっていて、夜の繁華街で、夏の古本市で、秋の大学祭で、冬の京都市内それぞれで愉快な乱痴気騒ぎが起き(「乱痴気」って初めて使ったけどぴったりな言葉!)、じわじわと大団円ににじり寄ってストンと終わります。気持ちいい。続けて2回読んでしまいました。
同じ作者の「四畳半神話体系」も読んでみたいけれど、湯浅政明監督のアニメも面白そうなんですよね。どっちを先に見るべきか?

余談ですが「鴨川ホルモー」も今作も、主人公が「冴えない男子学生」的でウダウダ言ってますけど、「京大生ならいいじゃん!」ってつっこみたい。ああつっこみたい。