クダギツネ

2005年の旅行日記を転載中。
遠野ふるさと村の森の中で、本当に妖怪に出会った!?そして動物の妖怪「経立(ふったち)」の話。クダギツネことイズナが超キュート!
あと最後に「妖怪ができるまで」的なコメントを書きました。

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「キノコとってけえ」

遠野の観光施設、ふるさと村。

ひとけがなく、
本当に昔の村に迷い込んだような
不思議な感覚をおぼえながら、
森の中の小道を歩いていたら…


いきなり、足元から人の声が聞こえた。
見回しても、誰もいない。
しかも、何を言っているのかわからない。

「で、出た!?」

アセる、私と連れ。


よーく見ると、足元で
ちっさいおばあさんがしゃがんでいた。
どうやらキノコを採っているらしく
東北弁で
「キノコとってけえ、キノコとってけえ」
みたいなことを言っていた。


うーわー、びっくりしたあああああー。
本物の妖怪が出たかと思った。

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「経立(ふったち)、管狐(くだぎつね)」
「この地方にて子供をおどす言葉に、
六角牛の猿の経立が来るぞといふこと常の事なり」
遠野物語 四七話)


経立(ふったち、ふったつ)は、
動物が年をとり、化けたもの。
ねこまたなんかもそうですな。


妖怪として紹介される動物は多く、
たぬき(むじな)、きつね、うし、さる、
いぬ(おおかみ)、ねこ、ねずみ、
てん、いたち、かわうそ、いずな、等々。


ふるさと村にイイズナの剥製があったが
ちっこくてかわいい!!
ディズニーキャラばりのかわいらしさ。
誰がデザインしたの?っていうくらい。


イタチの仲間のコイツは
イズナ、イイズナ、飯綱、管狐(くだぎつね)
などと呼ばれ、
使い魔として竹の筒に入れて
使う家系があると言われる。

こんなにかわいかったら、
使い魔じゃなくても、持ち歩いちゃうよなー。

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現在のコメント…妖怪が出たかと思ったらおばあさんだったわけですが、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」というように、妖怪は勘違いとか見間違いから発生したんだろうなーと思います。私は妖怪好きですが、それは昔の人の考えとか経験が転じて、現代に残っているのが民俗ロマン的で好きなんですね。
関係ない話ですが、以前会社の人が「真夜中にあの店の前でおかっぱに赤い服の女の子を見た!」と話し、それを聞いた人は「幽霊じゃない?もうその道は通らない!」と言い、次の人の話では「あそこに幽霊が出るらしい」となり…。このように、新しい怪談がひとつできる経緯を目の当たりにしました。
今回も、私がもし昔に暮らしていたら、電灯もない夜、おばあさんの姿に気づかず妖怪が出たと思い込んで、村に急ぎ帰って「オラ見ただ!」と騒いで新しい妖怪を作り出していたと思います。