「スプートニクの恋人」村上春樹

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

フロム古本浪漫堂
以前読んだ「アフターダーク」に比べると、ずっと従来の春樹節で、「あーこれこれ」と思いながら読み進めました。
ネタバレになるので以下↓
心地よい春樹節を求めて読んでいたものの、やはりどこか気取ったところのある春樹節。
恒例の(?)けだるくて受け身だけどモテる主人公。そして主人公の奇抜な女友達すみれ。そのすみれが急に外国へ…当然登場人物はみんな外国語ペラペラで…そこで不思議なことが起き…というオシャレかつファンタジーな展開。
春樹節を楽しみながらも、私もどこか冷めた目で読んでいたわけですよ。しかしすみれが突如行方不明になったとき、予想外にショックを受けました。私は変人のすみれに、意識しないうちにかなり好意を寄せていたようです。
そして主人公に対する、隙がなさ過ぎてうさんくさいという印象は私だけでなく、劇中の登場人物もちゃんと感じていたのでした。
私はすみれの身が無事でありますように…と祈りながら読み進めました。結局、冷めた目なんかじゃなくて、最後には熱くなってしまったわけで。村上春樹の術中にハマった感じで、大変面白く読んだのでした。