「東京バンドワゴン」「シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン」小路幸也

東京バンドワゴン

東京バンドワゴン

東京の古本屋さんを舞台にした、大家族の下町人情ものです。他界したおばあさんが語っているという設定なので、全編おばあさんのやさしい語り口で話が進み、ますますほんわかした雰囲気です。
頑固者のひいじいちゃん、ロックンローラーのじいちゃん、その息子達と妻子達のところに、ちょっとした不思議な事件が舞い込み、それを解決すべく動いてみると…と、短編集のようなつくりになっています。
事件性はないけれど、不思議な出来事の謎を解明していくさまはちょっとミステリ風味です。北村薫の「円紫さん」シリーズのような。
空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

悪人はまったく出てこないので、それが安心であり、ちょっと寂しくもあり…。「東京バンドワゴン」シリーズは続いているようなので、さらに読んでみたいと思います。


ところで作者の小路先生は以前、専門学校で非常勤講師としてシナリオを教えてらっしゃったのですが、私も同時期、同じ学校で別の授業を持っていました。曜日が違うので、会議のときにごあいさつしたくらいなのですが、やはり近い場所にいた方がこうして活躍されているというのは、うれしいというか励まされる思いです。勝手にですが…。